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葛の根からとったでんぷん。でんぷんの中では、最も良質とされていて、奈良県の吉野葛、福岡県のに筑前葛などのように産地名をつけて売られる事が多いようです。ただ、「葛粉」という名前の商品でも、中身が葛ではないものも多く出まわっており、まぎらわしいのが現状です。本葛は、コストも高いが高級和菓子原料や漢方薬として人気があります。
饅頭は小麦粉を捏ねて蒸篭(せいろ)で蒸かす、蒸菓子の中の王者です。語源は中国の饅頭(マントウ)で、わが国には鎌倉時代に宋より伝来し、漢音の「頭トウ」を宋音に従って「頭ジュウ」と呼び習わして来ました。当初は小麦粉のみの蒸饅頭に香辛料を加えた垂味噌(たれみそ)の汁を付けて食べるほか、野菜や小豆餡を皮で包む場合も、塩味餡が一般的なものでした。
室町時代の『七十一番職人歌合』には、饅頭売りが多く登場しますが、その中に「砂糖饅頭、菜饅頭、いずれもよくむして候」と記され、砂糖饅頭も既にあったことを示しています。なお、中国ではマントウは餡なしの皮だけものもを云い、餡を包んだものはパオツ(包子)と云います。
関西では一般的に「三笠」と呼んでいますが、「どら焼き」と同じものと考えても差し支えないようです。小麦粉、卵、砂糖をまぜて鉄板で円形に二枚焼き、間に餡をはさんだよく知られたお菓子です。こんもりした形から、奈良の三笠山に見立てたといわれます。明治の初期に創案されたようですが、はっきりとしていません。
←当店の栗入みかさ 『石清水』
もち米を炒って膨張させ、粉にしたものを煎味甚(いりみじん)又は早味甚といい、もち米を薄く伸ばした餅にして白焼きしたのちに粉砕したものを焼味甚粉といいます。さらにふるいに通した細かいものを寒梅粉と呼びます。
ようかんの一種で、寒天液とあんを合わせて型に流し、固めたもので、名前の通り水分を多く含んでいることが特徴。夏向きのお菓子で冷やして食べると大変美味しいお菓子です。
味噌餡とは、白餡に砂糖と主に京都の白味噌を加えて練り上げたもので、柏餅や花びら餅の中餡として用いられます。
奈良時代に中国から伝来した唐菓子(からかし・からくだもの)の一種で、小麦粉、米粉に塩水を混ぜ合わせ、引き伸ばして縄のように縒り合わせたもので、「麦縄」とも書いていました。当時の菓子の中でも最も広く普及し、そうめんの原型として今日なお一般に親しまれているもののひとつです。現在のうどんよりやや太く、汁などにはつけずに菓子のようにそのまま食べたようです。
蒸気を使って蒸し上げる製品のことですが、包んだり巻いたりした後で蒸す「蒸し饅頭」類のほか、木枠に流し込んで蒸す「枠物(蒸し羊羹、蒸しカステラ、浮島など)」、蒸し上げた生地で包むもの(ういろうや柚餅子など)があります。
高麗とも呼ぶ、餡に砂糖と粉類を混ぜ合わせ、そぼろに出して蒸したお菓子です。『高麗』はもともと鹿児島での呼び名で、豊臣秀吉の朝鮮出兵のときに島津氏によって持ち帰られたことから、朝鮮の旧国名である『高麗』となづけられたといわれています。『村雨』は、泉州での呼び名ですが、江戸時代に『時雨』を作って繁盛した店があり、周りの店がそれに似せて『村雨』を作ったのが始まりと言われています。因みに、時雨も、村雨も、秋から冬にかけて降る雨のことです。
餅菓子とは、餅を原料にした和菓子の総称です。餅粉、白玉粉、道明寺粉を使った大福餅、おはぎ、椿餅のほか、白玉粉を使った求肥、鴬餅、道明寺粉を使った関西風の桜餅など、またほかに上新粉を使った草餅、柏餅、みたらし団子などもあります。日持ちしませんので、朝生として扱われます。
もち米を精白し、水に漬けて粉砕し、乾燥して作ります。メーカーによってうるち米、でんぷんを入れる場合もあります。白玉粉と同じく、歯ごたえがまろやかで粘りの強いおだんごになりますが、白玉粉より製造工程が少なく、低コストなので、和菓子原材料として業務用を中心に根強い需要があります。
手粉(てこな)ともいい、餅搗きの時、餅が手や板につかない為に使用し、通常は上新粉、片栗粉(馬鈴薯澱粉)、あるいはコーンスターチなどを利用します。単に「とり粉」と言う場合もあります。
生菓子類のうち、餅、おはぎ、赤飯の類、餅菓子の総称です。
最中の語源は、中秋の名月を「最中の月」とも呼び、この月に似ていたことから来ました。初期の最中は丸く焼いた生地に砂糖掛けをしたものでしたが次第に皮2枚で餡を挟むようになりました。
桃山は、白餡に卵黄、寒梅粉、水飴を加えてよく練った種に、更に水飴,卵黄を入れて更によく捏ねて生地を作り、その生地を型打ちして、天板で焼いたお菓子です。艶やかな照りを持つのは、焼き上がった菓子が熱いうちに、味醂を刷毛で塗って仕上げるためです。最初茶人に好まれていたので、京都の地名にちなんで名付けられたといわれています。
ゆずを使ったお菓子です。ゆずの皮ともち米粉、うるち粉、砂糖などを混ぜて蒸し、竹の皮に包んで棒状に作ったもの。ゆずの風味をつけた「餅菓子」や「ようかん」などもゆべしといいます。 ゆずの果実の身を取り除き、米粉、調味料、木の実詰めて蒸し、干したものは「丸ゆべし」といい、餅菓子のゆべしと区別しています。 丸ゆべしは室町時代につくられ、「柚干」と書かれていました。当時のものはみそ味で菓子というより保存食品に近いものだったようです。
羊羹という中国語は、本来羊の肉入りの羹(あつもの=スープ)を示すものでした。また別に、羊の肝によく似た砕米と黒砂糖を練った餅菓子があり、羊肝餅(ようかんもち)と呼んでいました。菓子としての羊羹は、この二つの語が、混同して使用されたものといわれています。わが国へは室町時代に禅僧が点心として伝え、羊を使った料理に似せた精進料理の汁物(「羊羹」)と共に、砂糖羊羹の名も記録に見えます。菓子としての羊羹が作られるようになった当初は、全て蒸羊羹で、今日のように煉羊羹が主流となるのは、江戸時代前期に寒天の製法が発明され、普及してからのことです。羊羹は蒸羊羹と練羊羹に大別されます。
葛の根から採る良質の澱粉「葛粉」は、上菓子の原料として粽や葛饅頭、葛焼などに用いられます。奈良県葛城山の麓は、古来葛の産地として名高く、寒晒しした雪のように白く滑らかな本葛が、京菓子屋へと納められます。
寄せものとは寒天やゼラチンを溶かした液で果物や豆類を寄せて集めて固めたものです。
落雁は打物の一種で、穀類を主原料としたもの、また打物や押物を総称して呼ぶ場合もあります。大陸渡来の押し菓子が原型で、その白い押物に黒胡麻を振った様が、中国の瀟湘八景の一つ「平沙落雁」を想わせるので、落雁の字が当てられたものといいます。